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Alex Chih

← 記事 jlpt · 2026年8月27日 · 6 min 読む

推し學でJLPT N2に合格した話

教室なし、講師なし。アニメ映画と視覚的な記憶術と大量の小説で日本語を勉強し、JLPT N2に122点(180点満点)で合格しました。


今日、JLPT N2の結果が届いた。

122/180。合格。

語学学校には通っていない。先生にも習っていない。

使ったのは毎日回した単語カードと、アニメのキャラクターの口調で作った文法ドリルと、大量の日本語の小説。エンジニアとしてフルタイムで働きながら、全部独学でやった。

この勉強法には、自分で「推し學」と名前をつけた。好きな作品とキャラクターを通して、言葉を覚えていく。

出発点

5ヶ月前、N2の文法問題を初めて解いたときの正答率は57%。読解はもっとひどかった。唯一まともだったのが聴解で、5問だけのミニテストとはいえ100%。

たぶん、何年もアニメを見て日本語の曲を聴いてきたおかげで、知らないうちに耳が鍛えられていたんだと思う。

高校のときに3ヶ月だけ入門講座を受けたことがある。それ以降は全部独学。

日本語を学びたい理由は、はっきりしていた。

きっかけは一本のアニメ映画、『超かぐや姫!』。舞台になった立川に一度行って、それから何度も通っているうちに、街そのものが好きになってしまった。

立川を好きになればなるほど、旅行で使う定番フレーズだけでは物足りなくなる。行きつけの店で店主と普通に話したいし、駅のアナウンスも聞き取りたい。この街でできた友達と、翻訳なしで笑い合いたい。

立川通いも、日本語の勉強も、同じ映画から始まった。

『超かぐや姫!』は2026年1月に配信が始まったオリジナルアニメ映画。原案は竹取物語。彩葉は才学兼備・文武両道の女子高生。本人いわく「色々中途半端には出来るが、特技なんて無い普通の女子高生」。

その彩葉が月から来た少女を拾い、二人で仮想空間「ツクヨミ」のライバー大会に出る。その空間の管理人が、8000歳という設定のAIライバー、ヤチヨ。

文法:ヤチヨ教室

文法項目ごとにキャラクターの口調を割り当て、映画のシーンと結びつけた覚え方を考えた。推し學をいちばん徹底してやったのが文法だ。

「ヤチヨ教室」という学習システムを作った。名前はヤチヨから。

形式はシンプルで、朝は一言にまとめた判断基準で文法を学び、日中は4択テスト、夜は間違えたところの復習。

教科書の定義を、「判断基準」に置き換える。

「~たとたん」を「ある動作の直後に突然起こる出来事を表す」と暗記する代わりに、「ド〜ン、ダンパーン。劇的な衝突」と覚える。

ノベライズは桐山なると(ファミ通文庫)。彩葉の視点で語り直されていて、映画では描かれなかった母親とのわだかまりや、かぐやへの気持ち、ヤチヨの過去が補完されている。

例文は教科書のものじゃない。『超かぐや姫!』のノベライズを一冊まるごと読んで、N2文法が使われているところに印をつけ、例文はそのまま小説から取った。

教科書の例文は知らない人の言葉。こっちは彩葉の言葉だ。

各文法項目は、絶対に忘れないイメージと結びつけている。「うちに」は時間が流れていく砂時計。「限り」系の文法は「限りマンション」という建物。「を通じて」は「お通じトンネル」。

26課分のスコアを振り返ると、伸び方はかなりでこぼこ。第1課は初見で72%、第2課は50%。1〜5課をまとめて復習したときは27%まで落ちた。というのも、最初の頃に旧方式で作った課が足を引っ張ったからだ。

それでも第7課では初見で70%。少しずつ上がってはいたけど、順調とは言えなかった。

語彙:Anki

新規カードは毎日30枚。毎日。旅行中も、休日も、疲れ切っていても、一日も欠かさなかった。

既存のデッキを使い、復習は1回200枚までにした。

覚えるペースが上がったのは、単語を「前にどこかで見た」と思えるようになってからだ。歌詞に出てきた単語、小説のフレーズ、Discordで友達が使った表現。

読解

試験の読解は49/60。3分野の中では断トツで、5ヶ月前はいちばん苦手だったのに。

『超かぐや姫!』のノベライズを最初から最後まで読んで、短い『かけ恋』も読み切った。『無職転生』と『転スラ』は長すぎて、まだ途中。Twitterで二次創作小説を読んで、Discordでは日本人の友達と日本語でやりとりしている。

どれも「勉強」のつもりで読んだわけではなくて、日本語で読みたかったか、読む必要があったものばかりだ。

これができたのは、勉強を始めた頃にもらったアドバイスのおかげだ。最初に読むときは、流れを止めないこと。一語ごとに立ち止まって辞書を引かないこと。分からないところがあってもいい。細かいところはあとから確かめればいい。

最初は落ち着かなかった。全部理解したい気持ちが強かったから。でも、曖昧な部分を残したまま読み進めることに慣れてくると、それがそのままJLPTの読解に効いてきた。

聴解

試験前、聴解だけは自信があった。ところが終わってみると、いちばん不安な分野に変わっていた。結果は37/60。嫌な予感は当たった。

模試では毎回、聴解が得意科目だった。それでも本番、特に問題5(統合理解)は思うように解けなかった。

アニメの台詞や歌詞なら、聞こえた言葉を追えば内容はつかめる。問題5は違う。何人かが話す内容を頭の中で整理しながら、時間内に合う選択肢を選ばないといけない。

2/22、新宿バルト9で初めて舞台挨拶を生で聴いて、15分で脱落。なのに6/19、立川シネマシティの卒業記念舞台挨拶は1時間、9割わかって、笑うところでちゃんと笑った。

伸びてるじゃん。

ただ、試験の解き方だけは別に練習が要る。推し學のせいじゃない。

僕がやらなかった。それだけ。

スコア

得点区分 点数
言語知識(文字・語彙・文法) 36/60
読解 49/60
聴解 37/60
総合 122/180

言語知識は文字・語彙と文法を合わせた点数。合格ラインは総合90/180以上で、各得点区分も19点以上が必要。

参考情報では語彙がAランク、文法がBランク。予想通りだった。

語彙はAnkiで十分対応できた。文法はまだ、活用形を見ただけですぐ答えを選べるほど身についていない。もっと練習が要る。

実際に学んだこと

無理に勉強しようとしたことは一度もない。

小説の続きが気になって、歌詞の意味が引っかかって、文法がボロボロでも人と話していたら、単語と文法は勝手についてきた。

文法ドリルと単語カードは、その延長にあっただけ。面倒なことが増えたんじゃなくて、好きなことを続けるための道具が一つ増えた。

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Alex Chih

Security consultant & instructor · AWS / Azure

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